
豊臣秀吉の正室・北政所(ねね)の過ごした化粧御殿前に賢庭と小堀遠州が手掛けた桃山時代の庭園。国指定名勝。
旧円徳院庭園について
「圓徳院」(えんとくいん)は豊臣秀吉の正室・北政所(ねね)が晩年を過ごし、終焉の地とされる場所に江戸時代初期に開かれた寺院。
桃山時代、『醍醐寺三宝院庭園』を手掛けた賢庭が作庭に携わり、小堀遠州が手を加えたという“北庭”が『旧円徳院庭園』として国指定名勝です。
2020年、2021年と続けて3月に拝観。2021年はちょうどライトアップをやっていた!向かい合う高台寺のような大規模なものではないけど、個人的にはこのようなしっとりした灯りぐらいが風情があって好き。
北政所・ねねは秀吉の没後、伏見城化粧御殿をこの地に移築。併せて移築されたのが“北庭”で、京都市の説明版では“化粧御殿跡前庭”とも。
ねねは約20年に渡りこの地で過ごしました。ねねの没後、寛永9年に甥の木下利房により木下家の菩提寺として円徳院は創建され、現在では秀吉とねねがまつられている『高台寺』の塔頭寺院となっています。
“北庭”は各地の大名から献上された200以上の庭石を用いて、“石組の名手”賢庭らにより築かれた枯山水庭園。伏見城に存在した頃は池泉回遊式庭園だったそうですが、この地に移築後は(水源の問題があったのか)ずっと枯池の姿なんだそう。
巨石による複数の石橋が、『西本願寺大書院庭園』や『旧徳島城表御殿庭園』でも観られるような“桃山文化の豪快さ”が感じられる庭園。
また1,500円でお茶室の中で、古田織部が秀吉にお茶を出す際に考案したというお点前と楽茶碗でお抹茶をいただくことも。茶室前の“檜垣の手水鉢”も伏見城から運ばれた特徴的な手水鉢で、京都検定に出題されたこともあるそう。
茶室そのものは名前もなく出自も不明なのだけれど、移築されたのは江戸時代後期。お茶室側から書院を通してみる庭園もまた違って見えて――面白いのはお茶室の窓から真正面に鶴島・三尊石が目に入ってくること!
これもモミジの葉が茂ってくると隠れてしまうかもなので――GWには新緑・秋には紅葉の名所でもありますが個人的にはこの庭園は冬~早春の曇りや雨の日に観に行きたい庭園。
北庭の前、順路の最初に鑑賞できる“南庭”は昭和を代表する庭園研究者のひとり、森蘊さんの指導により徳村宗悦が作庭したもの(この徳村さん、あまり情報がない…京都のこの会社さんの先代?)。また、現在では北山安夫さんの『北山造園』が御用達として庭園を管理・監修されており、中庭などは北山さんによる作庭とのこと。
その他にも長谷川等伯による襖絵が国指定重要文化財となっています(今回は高精細複製が展示されていました)。場所柄、拝観者が少ないわけではないけれど、それでも季節によっては人も多くなく座敷で落ち着いて見られるので…まったり出来て好きな庭園です。
(2014年12月、2016年5月、2020年3月、2021年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京阪本線 祇園四条駅より徒歩13分
阪急京都線 京都河原町駅より徒歩15分
最寄りバス停は「東山安井」バス停 徒歩4分
〒605-0825 京都府京都市東山区高台寺下河原町530 MAP
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